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105話

この時ばかりは、エリック・ロックウッドと関わりがなければ良かったと思った。確かに彼がいなければ、私は裕福なウルフになることはなかっただろう。だがそれは、呪われた宝石のせいで命を落としてもいい理由にはならない。

本能に従うべきだった。エリックの黒いサファイアを断るべきだった。だが黒いオオカミが私の夢の中で私を苦しめていた。彼女のせいで、私は眠ることを拒否していた。また噛み跡で目覚めたくなかったし、最悪の場合は...二度と目覚めないかもしれないという恐怖があった。

エリック・ロックウッドとの電話を切った後、私は机に置いた黒いサファイアを見つめた。一つは今や脈打ち、もう一つは不気味な赤い光を放ち...