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第887話彼らの心に宿る苦味

「長年、お前はエリス家とブリンのために生きてきた。それはお前にとってあまりにも不公平だった。今のお前は成長し、独り立ちできるようになった。私がお前の成長を妨げるわけにはいかない――それはあまりにも自己中心的だろう」

「だから、ノヴァリア支社の全権をお前に委ね、そこのCEOになってもらうことに決めた。あれは将来性のある新しい会社だ。お前の能力を存分に発揮できるだろう」

アティカスは二人を引き離そうとしていたが、エルドンに対する彼の気持ちは本物だった。会社は、彼なりの感謝と償いの方法だったのだ。

エルドンは息が詰まるような思いだった。

会社も成長も望んでいなかった。ただ永遠にブリンのそばにいて...