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第739話お互いが恋しい

突然その名前を何の前触れもなく耳にした瞬間、彼女の心は思わず震えた。

感情の波が彼女を襲った。

「ジュニパー、まだ聞いてる? 驚かせちゃった? 心配しないで、彼は仕事で来てるだけよ。あなたを捕まえに来たわけじゃないわ」

「わかってる」

彼の目には、もう二人の関係は終わっていた。どうして彼女を探しに来るはずがあるだろうか。彼女が今リベルトニアにいることさえ、きっと知らないはずだ。

「昨日たまたまニュースで見たの。彼は仕事で、たぶん出張か何かで来てるんだと思う。普通のことよ。ちょっと言ってみただけ、深い意味はないわ」

「うん」

ジュニパーは心の中で思った。『リベルトニアはこんなに広い...