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617話

半年後。

9月中旬、夏の暑さは容赦なく厳しい。

別荘の外では緑が生い茂り、木々ではセミたちが全力でコンサートを繰り広げている。

レイラの目はサミュエルの手にある大きなスイカに釘付けだった。「早く、早く!」

サミュエルはスプーンで一番juicyな赤い部分をすくい出した。「一口だけだよ。たった一口だけ」

「わかった」レイラは首振り人形のようにうなずいた。「早くして」

彼女は一口食べると、とろけるように幸せそうな表情を見せた。「まあ、なんて美味しいの...甘い...もう一口ちょうだい」

「ダメだよ、医者は妊婦にスイカはダメだって言ったろ。特に出産予定日まであと3日の君には」

「もう一...