5話
チャーリーの視点
アップルツリービルに20分早く到着し、また不愛想な受付係と対面する覚悟を決めていた。
威圧的な建物に近づくにつれ、私はチャコールグレーのパンツスーツ、クリーム色のカウルネックシャツ、クリーム色のヒール、そしてバーガンディのリップスティックを身につけ、自信を漂わせていた。この服装は、女性らしさとプロフェッショナリズムのバランスを取るために慎重に選んだもので、私がデザインを発表する男性が大半を占める部門長たちを威圧しないようにするためだった。
母はいつも、特にこの男性優位の業界では、あらゆる状況に適した服装の重要性を強調していた。広大な大理石のロビーに足を踏み入れ、受付デスクに向かいながら、強い態度を保つことに集中した。
「こんにちは、チャーリー・フィリップスです。昨日ここでアポイントがあって、今日は12時に部門長たちとの面会が予定されています」と、最も甘く無邪気な笑顔で受付係に挨拶した。
彼女は私をちらりとも見ずに、デスクトップの数個のボタンをタップし、スケジュール上の私の予定を確認した。昨日と同じエレベーターを無言で指さした。
「ありがとう！」と言いながら立ち去りかけて、私はほとんど笑いそうになった。彼女がこの会議の重要性を認識していることに気づいたからだ。もし上手くいけば、私は彼女のキャリアに影響を与えたり、昇進のチャンスを妨げたりする力を持つことになる。おそらく彼女は見た目ほど愚かではないのだろう。彼女に同情の念を感じかけた、ほんの少しだけ。
エレベーターの中で深呼吸し、エレイナと部門長たちとの重要な会議に向けて心を落ち着かせた。私のプレゼンテーションの成功は、この会社での私の将来を決めることになる。
エレベーターを出ると、エレイナが彼女のデスクの前で待っていた。彼女は赤いボディコンドレス、黒いヒール、そして魅惑的な緑の瞳を引き立てるルビーレッドのリップスティックで自信に満ちていた。彼女の視線がゆっくりと私の服装をなぞり、完全に服を着ているにもかかわらず、奇妙な脆さを感じた。
「まあ、食べてしまいたいほど素敵じゃない！」と彼女は最終的に目を合わせて叫んだ。
「この服装は部門長たちに適切でしょうか？」と私は突然、服装の選択に不安を感じて尋ねた。
彼女は誘惑的な揺れ方で私の方に歩み寄り、私の長いブロンドの髪を肩から払いのけ、耳元でささやいた。「完璧よ、ゴージャス」。彼女の親密な仕草が私に新たな自信を与えた。
「あなたはどう？そのドレスは絶対に素晴らしいわ。私のためにおしゃれしたの？」と私は冗談めかして返した。
彼女は腕を私の腕に絡ませ、前日に通り過ぎた最大の会議室へと私を導き始めた。
「多分、私のランチブレイクと明日の夜にあなたが私を迎えに来る間、あなたの思考に残りたかっただけかもね」と彼女はくすくす笑い、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
彼女が私のためにすりガラスのドアを開けると、約30人の人々で満たされた部屋が現れた。
ほとんどの人は部屋の長さに広がるテーブルの周りに座り、他の人々は壁沿いの椅子に座っていた。唯一の空いている椅子は、テーブルの反対側のドアに最も近い場所にあり、私が座るべき場所だった。
その光景は控えめに言っても威圧的だった。
テーブルにバッグを置き、ラップトップとポートフォリオを取り出しながら、コピーを作っておけばよかったと思った。
エレイナは、私のデザインとシミュレーションが私の椅子の後ろの背景に投影されるように、ラップトップの接続方法を示してくれた。
「えへん」とテーブルの真ん中に座っている年配の男性が咳払いをして、沈黙を破った。「プレゼンテーションを始める前に、自己紹介をして、私たちにも同じことをさせてはどうでしょうか」
部屋の数人から笑い声が上がり、この男性が私の性別と若々しい外見のために私の採用に反対していることが明らかになった。
甘い笑顔を保ちながら、私は答えた。「もちろんです、誰も待っていない数分間があると思って、先に機材をセットアップしたかったのです。早めに来たのもそのためです」私の声は蜂蜜のように甘く無邪気だった。
「ここアップルツリーでは、常に早めに準備することでクライアントの時間を大切にしていることがわかるでしょう、あるいはわからないかもしれませんが」と彼は反論し、彼の取り巻きからさらに笑い声を引き出した。腕を組んで満足げな笑みを浮かべ、彼は自分に満足しているようだった。
緊張が高まったちょうどその時、会議室のドアが予期せず開き、ベン・サマーが入ってきた。彼は私が想像していたよりも背が高く、少なくとも6フィートはあった。
それは彼を思い出させた。
数人が彼に席を譲ろうと慌てる様子を見て、私は顔を赤らめた。
「いや、いや、座っていてください。これは全部昨日見ました。私はただ、皆さんがこれを見たときの反応を観察したいだけです」と彼は言い、全員の注目を再び私に向けさせた。
「ありがとうございます、サマーさん」と自信を奮い起こして返答した。私は前日と同じシミュレーション、デザイン、説明を行った。約1時間話し、私のアイデア、改良点、そして技術が追いついたときの将来的な強化についての考えを概説した。
結論を述べると、プログラムが終了し、私のポートフォリオが出席者の間で回覧された。部屋は静まり返り、私が失敗したのではないかと恐れていたとき、サマーさんが拍手し始めた。彼の威厳ある存在感が他の人々にも拍手を促し、安堵感が私を包み込んだ。
「昨日よりもさらに良かった！今、弟があなたに会いたがっていた理由がわかりました。彼はこれを逃したことを残念に思うでしょう」とサマーさんは宣言した。徐々に、部屋の他の人々も拍手に加わった。先ほど私に反対していた男性は今や明らかに動揺しているように見えた。
「さて、フィリップスさん、これは大成功だと思います。週末に雇用契約を検討してみてはいかがでしょうか？時間をかけて、必要であれば弁護士に相談し、月曜日に持ってきてください。残りの書類を完成させましょう。どうですか？」
私は彼の反応に驚きと歓喜で言葉を失っていた。何人かの人々は心配そうな視線を交わしていたが、彼らは黙ったまま、私に祝福を述べ、握手をするか、私を無視して立ち去った。
「アップルツリーへようこそ、フィリップスさん」とサマーさんは私を通り過ぎて会議室を出る際にささやいた。
部屋に一人残され、私は椅子に崩れ落ちた。圧倒的な経験で足がしびれたようだった。仕事を手に入れ、ついに8年間努力してきたことを達成したのだ。
一瞬、彼に伝えたいと思った。そして自分を止める前に、彼が私に見せるであろう笑顔と、彼が私を誇りに思うと言ってくれることを想像した。彼が私を抱きしめてキスし、一緒に祝い、夜をベッドで過ごす様子を想像した。
しかし、すぐにそんな空想に浸っていることを自分自身で叱責した。
彼は現実ではない。私は現在に集中し、もう一度現実の世界を受け入れなければならなかった。
震える足で椅子から立ち上がり、受付エリアに戻った。エレイナと喜びを分かち合い、成功したランチの後に夜がどんな展開をもたらすか誰にもわからなかった。おそらく夢の中の男を置いて、目の前にある現実を受け入れる時が来たのだろう。
彼女のデスクに近づくと、エレイナが以前見たことのない女性に何かを手渡しているのに気がついた。
「チャーリー、おめでとう！こちらはケンドラ、プラット氏の第二秘書よ。私がランチに行っている間、電話を担当してくれるわ」とエレイナは明るい笑顔で熱心に言った。
「こんにちは」とケンドラは温かく挨拶した。先ほど自己紹介していなかったので、プラット氏が誰なのかわからなかったが、少なくとも彼の秘書は感じが良さそうだった。
「こんにちは、これからよろしくね。雇用契約を受け取る必要があるんだけど、どこで受け取ればいいのかわからなくて」と私は眉をひそめ、エレイナに振り返り、彼女が案内してくれることを期待した。契約書に署名するという考えはまだ非現実的に感じていた。
「ここにあなたのための歓迎パケット一式があるわ。サマーさんがあなたが到着する前に今朝私に渡したの。彼はあなたが皆を感動させることを知っていたのよ」とエレイナは笑顔を広げながら、分厚いフォルダを私に手渡した。
「落胆させたくはないけど、プラット氏があなたのプレゼンテーションから戻ってきたときほど怒っているのを見たことがないわ。他の秘書から聞いたところによると、人々がそれについて話しているそうよ。一部の上級幹部は、あなたのように若い人がそのような画期的なアイデアを思いついたこと、またはダニエル氏があなたの採用のためにそれほど熱心に戦ったことに喜んでいないの。CEOが採用プロセスにこれほど個人的な関心を持つのは異例よ。さらに、誰かがそのような高いレベルで入社するのは前代未聞です。通常、新入社員はエントリーレベルのポジションから始めるものよ」とケンドラはささやき、彼女の不快感は明らかだった。彼女の正直さには感謝したが、それは私を困惑させた。
「待って...「高いレベル」とはどういう意味？デザインチームのポジションに応募したと思っていたけど」と、彼女が何を意味するのか全く理解できずに尋ねた。
「そうね、プラット氏はデザイン部門の責任者だけど、あなたは彼の下で働くわけではないわ。あなたのポジションはエコデザインチームリーダーで、来週からはチームメンバーの候補者の面接を始めることになるわ」とケンドラは説明した。
私は彼女を見つめ、唖然として完全に混乱していた。エレイナは私の手からフォルダを奪い、すぐに彼女が探していたページを見つけた。
「なんてこと！こんなに寛大な初任給と給料を見たことある？」と彼女は興奮に満ちた声で叫んだ。
ケンドラは身を乗り出し、ページの数字をのぞき込み、驚きで目を見開いた。