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250話

レイチェル

階段を降りると、マッシモがデイモンと電話で話しているのが聞こえた。私は玄関から外に出て、大きく深呼吸をした。いい天気だった。少し寒いけど、気持ちの良い日だった。カーディガンにもっと身を包み、ワイン畑、というかイタリアにいるからブドウ畑と言うべきかな、そこへ向かって歩いた。歩きながら空を見上げると、いつ最後に一人で外を歩いて、見上げた空にただ空だけが広がっているのを見たのだろうと思った。ニューヨークが素晴らしくないという意味ではないけど、見上げると建物や超高層ビルばかりで、ただの空は見えない。ブドウ畑の中を歩いていると、もうすぐマッシモかマルコが来るだろうと思ったけど、驚いたことに...