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ニコ

手の中にある、スイス・アルプスに抱かれたモンクレール・アカデミーの光沢写真を俺は見下ろす。ゴシック様式の校舎は雪を頂いた山々に縁取られ、真新しい制服に身を包んだ生徒たちが光沢のあるページの上でこちらに微笑みかけている。まるで夢のような楽園に見えるが、俺の頭に浮かぶのは、ここがどれだけニューヨークから離れているかということだけ。俺たちから、どれだけ遠い場所かということだけだ。

「世界最高峰の超常能力者のためのアカデミーよ」エレナが呟く。その声には、切羽詰まった状況ゆえの重い響きがあった。「混血の子供たちのための専門プログラムもあるし、警備も万全だわ」

「あの子はまだ六歳なのよ」ジャ...