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ニコ

まったく、完璧だ。ハネムーンだけは台無しになんてならないと思っていたが、どうやら人生はそう甘くはなかったらしい。飛行機の座席から立ち上がろうと体をひねる。その動きで、脇腹に刺すような痛みが走った。感情を表に出さないよう、歯を食いしばる。

俺たちはニューヨーク行きの飛行機に乗っている。いつも手際の良いファビオが、どういうわけかファーストクラスのフライトを手配してくれた。翌日のフライトを予約するなんてほぼ不可能だというのに、あいつは期待以上の仕事をしやがった。俺は身をかがめ、ジャスミンと息子にキスをし、「すぐ戻る」とかなんとか囁いてから、二列後ろの席へ向かった。そこではファビオがイザベル...