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――ニコ視点――

「いや、いや、恐れ入りますがドンにはお繋ぎできません」

半裸のまま洗面所から出ると、メインホールの窓際でファビオが緊張で肩を強張らせ、行ったり来たりしているのが見えた。彼は低い声で電話で話していた。部屋を見回す。夢にまで見た女性、ジャスミンとの結婚式から二週間が経っていた。

「彼はハネムーン中です。すべての業務は一時停止しております。ニューヨークの秘書にご連絡いただくか、お待ちいただくしかありません。二度とは申しません」ファビオはそう言って、カチッと音を立てて電話を切り、ため息をついた。

「誰からだ?」私は努めてさりげない声で尋ねた。

彼の肩の緊張、そして、まる...