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十三

ジャスミン視点――

「お医者様を呼びましょうか?」しばらくして、私はそう尋ねた。この重苦しい空気をどうにか変えたかったのだ。

ニコが突然、がばっと私の方を向いた。彼の目がほんの少しだけ和らぎ、首を横に振ると、指で髪をかきあげた。

「その必要はない。もう行っていい」彼は私を追い払うように言った。

彼の心は何か別のことで占められている、そう思わずにはいられなかった。でも、ニコが物思いにふけるタイプだなんて、今まで思ったこともなかったのに。

いや、そんなはずはないか。さっきの出来事があった後だ。誰だって物思いにふける理由としては十分すぎる。彼は後悔しているのだろうか?突然、私の頭の中はたく...