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第82話

カヤ

ケイドと私は彼のオフィスに座っていた。私は針と染料を持っていた。ケイドにやり方を説明した。私たちは指に一本の帯を入れることに決めていた。彼は人間の世界では指輪が何かを意味するけれど、北方ではそういうことはしないと言った。また、狼人の世界では結婚という概念もない。私たちは左手の指に細い線を入れることにした。私は針を位置させ、始めた。

私はケイドに精神リンクした。「痛い?」「ヒリヒリするけど、気分が悪くなるわけじゃない」私は何度も何度も針を刺し続けた。ウルフスベインで作られたインクに針を浸しながら。ケイドは毅然と座り続けていた。不快そうではあったが、耐えられないほどではなかった。指の周り...