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第53話

ケイド

彼女が去っていくのを見届けてから、自分の席を探しに行った。私は深呼吸をした。ケイヤの気持ちはわかっていた。誰でも、触られたくないのに触られるのは嫌なものだ。十代の頃、私も何人かの女の子から不意にキスを奪った罪があった。彼女たちはキスを求めていなかったが、私がしたかったからしたのだ。しかし、それはケイヤや北部の人々にとっては全く異質なことだった。彼らは決してそんなことを考えもしないだろう。おまけにこの男はキミのお尻も掴んだのだ。

ケイヤがしたことの理由はわかる。彼女は友達が襲われたと感じたのだ。私の指示で十分なはずだった。これがニエバの耳に入れば、彼女は動揺し、私が彼女の狼たちを守れ...