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第151話

俺がカヤを見つけた時、彼女は狼の姿で力なく地面に横たわっていた。血まみれの惨状だった。俺は彼女の元へ駆け寄った。鼻で彼女を突いてみたが、反応はなかった。崖の端に近いところにいるのが見えた。下を覗くと二匹の狼が横たわっていた。一匹はホウィに違いない。カヤが追っていたのは彼だったが、もう一匹は誰だろう。俺はカヤに注意を戻した。

心で繋がろうとした。「カヤ」。だが返事はない。人間の姿に戻し、彼女を揺さぶってみた。それでも動かない。胸に耳を当てると、心臓の鼓動が聞こえた。かすかだが。彼女の姿を確認すると、狼の耳が一つ無くなっていた。体中が噛み傷と切り傷だらけだった。失血で気を失ったに違いない。俺は残...