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第539話不条理なアレルゲン

バーリーは絶望に顔を曇らせ、目を伏せた。「ジョーにはもう探さないでって伝えて。残された時間は、静かに過ごしたいの」

オレリアは焦りを滲ませた声で言った。「どうして探すのをやめられるの? どんなに小さな可能性でも、諦めるわけにはいかないわ。家族みんなで適合者を探してるのよ。マーカスだってそう。こんなふうに諦めないでよ!」

マーカスの名が出た途端、バーリーは息を呑んだ。この数日、彼が病室の外で見守ってくれていることは知っていた。誰にも会いたくないと彼女が拒絶して以来、彼は姿を見せなかった。けれど、その気配はすぐ近くに感じられた。声を上げれば、きっと彼に届くほどの距離に。

彼は彼女が振り向いて...