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第535話大丈夫です

時間の感覚が曖昧になる中、ナサニエルはただ一つの信念にすがりついていた。耐え抜かなければならない、と。

これまで数え切れないほどの嵐を乗り越えてきた。この嵐もまた、いずれは過ぎ去る。この世に乗り越えられない苦難などない。死を恐れない自分が、他に何を恐れることがあるだろうか?

歯を食いしばり、ナサニエルは体中を駆け巡る激しい渇望と戦った。汗が滝のように顔を流れ落ち、こめかみに浮き出た血管の輪郭をなぞっていく。

主寝室では、アウレリアが寝返りを打ち、その手は隣の空虚な空間を撫でた。最初は夢だと思ったが、無理に目を開けると、彼が確かにいないことを確認した。彼の側のシーツは少し乱れ、角が一つめく...