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第506話本当に他に方法がない

「ベアトリス、この宝石、本当に素敵ね。でも、あなたが大切にしているものをいただくわけにはいかないわ。これはあなたが持っているべきよ。また別の機会に、これでイヤリングを誂えて、残った分でペンダントでも作ったらどうかしら」

アウレリアの口調は穏やかで丁寧だった。一見、ベアトリスの贈り物を断っているように聞こえるが、その実、彼女からのこれ以上の要求を未然に防ぐためのものだった。

誰だって、偽善者くらいにはなれるものだ。

ベアトリスは虚を突かれた。

「アウレリア、昔はそんな他人行儀じゃなかったじゃない。私たちは家族でしょう?そんなに距離を置く必要なんてないわ。良いものがあったら、自然とあなたの...