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第501話キスしないで

蛇口がひねられ、熱い湯が降り注ぐ。バスルームはたちまち湯気に満ち、オーレリアの顔を上気させた。

オーレリアは彼に背を向けたが、この状況では考えすぎないようにする方が難しかった。大人同士の抑制は、たった一言、ほんのわずかな物音で崩れ去ってしまうものだ。

ナサニエルの大きな手が、優しく彼女の背を撫で、ボディソープを肌の上で泡立てていく。

彼は手を伸ばし、湯を止めた。

「オーレリア、こっちを向いて。前がまだ洗えてないだろう」

オーレリアは息を呑み、全身がこわばった。「わ、私、自分でできるから」

ナサニエルはボディソープのボトルを持ったまま、くすりと笑った。「無料だよ。本当にいらないのかい...