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第432話私の面倒をみてくれる?

アウレリアはキッチンを片付け、エプロンを外し、部屋を出て行った。

「救急箱はどこ?あなたの膝、見せてちょうだい」

ナサニエルは我に返った。自分の身勝手な欲望を満たすためだけについた嘘だった。彼女がここまで真剣に受け止めるとは、夢にも思わなかったのだ。

「この家に住んでまだ日が浅いから、救急箱は用意してないんだ。アウレリア、大丈夫だよ。こっちに来て少し休んで」

「疲れてないわ。先に消毒させて」

そう言うと、アウレリアはリビングのキャビネットをごそごそと探し、赤十字の印がついた箱を見つけ、それを隅々まで検分した。「これ、救急箱じゃないの?」

ナサニエルの喉が詰まった。まったく、一つの嘘...