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第286話

二人の武装した警備員が階段の上に現れ、行く手を阻む者を殺す態勢を整えていた。しかしモーゼを見るなり、まるで血まみれの人食い鬼でも見たかのように逃げ出した。モーゼは彼らを追いかける気さえ起こさない。

私は眉を上げる。これはアザエルの部下たちなのか?臆病者め。「あなたのせいで彼ら二人はパンツを履き替えることになりそうね」モーゼの胸が低く唸る。私は真剣な口調で付け加えた。「この場所が破壊される前に、できるだけ多くの実験体をここから出さないと」

「いや」モーゼが唸る。「出ろ。今すぐだ」

「出ていくことには何の問題もないけど、ここには助けが必要な無実の人たちがいるわ」

「ダメだ。俺のものだ!」

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