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第37話

アレクサンダーの視点

「くそっ!」私は飛び上がって立ち上がり、自分を覆うタオルを探した。「どこにあるんだ、そのクソタオル?ここにあったはずなのに!」

エミリーはクスッと笑い、ベッドから飛び起きてシーツを掴んで身体を覆った。彼女の顔は赤く、目は大きく見開かれていた。どうすればいいのか分からないようだった。

玄関に足音が聞こえ、その直後にドアが閉まる音がした。

私たちは二人とも凍りついたように動かず、耳を澄ませた。

「アルファ?」ルークの声がアパートメント全体に響いた。

彼に鍵を渡したことをすっかり忘れていた。それも緊急時だけのためのものだったのに。

「ここで待っていて」私は床から下...