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第734話

アントニオはまるで爆弾を解除するかのように、一つずつ、ゆっくりと数字を打ち込んだ。

パスワードは、母親のカーターの誕生日とイニシャルを組み合わせたもの。

「カチッ」という音と共に、研究室のドアがきしみながら開き、まるで彼を飲み込もうとする怪物の口のような漆黒の闇が現れた。

深呼吸をしたアントニオは、スマホのライトをつけて中に足を踏み入れた。

背後のドアが、ゆっくりと不吉な音を立てて閉まった。

中には棚が壁に並び、正体不明の液体が入った瓶がびっしりと詰まっていた。

だがアントニオはそれを目当てにしてきたわけではなかった。

彼は特定のものを探していたのだ。

少し探し回った後、このハ...