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第712話

「サー?」

「黙れ!」アントニオはレセプショニストに向かって怒鳴った。自分が失礼だと気づき、態度を和らげて言った。「すみません、ちょっと待ってくれませんか?ありがとう!」

レセプショニストは唇を引き締め、もう一言も発しないという意思表示をした。

ちょうど街中を探し回ろうとしていたその時、ついに電話がつながり、相手がサラだと分かった瞬間、彼はほとんど取り乱しそうになった。

サラは音信不通になるつもりはなかった。

冷静になってみれば、アントニオが彼女を見つけられなければパニックになることは分かっていた。事態をさらに悪化させたくなかったので、彼女は携帯の電源を入れ、着信に応答した。

電話...