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第689話

ヘアドライヤーの音が止まり、サラが目を開くとすぐに、彼は彼女にキスをした。

その場面は唐突に終わった。

「もう考えるのはやめよう!」彼は思った。

ベンジャミンは部屋に立ち、しばらく佇んでいた。思いが募るごとに欲望は強くなっていった。やがて、彼はイライラと髪を掻き乱すことでしか不満を表せなくなった。

彼は空っぽの部屋を見渡し、引き出しや箱を探り始めた。長い時間が経ち、ようやく香水の瓶を見つけ、少し吹きかけた。

空気は瞬く間に懐かしい香りで満たされ、過去を思い起こさせるものだった。

ベンジャミンは服にも少し吹きかけ、ようやく少し落ち着きを取り戻した。

完全に落ち着いたわけではなかった...