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第601話

ベンジャミンは一瞬目を閉じ、腕の中のイーサンを見下ろした。子供は平和に眠っており、穏やかな笑顔を浮かべ、寝言を少し漏らしていた。

彼は深呼吸し、そっと腕を小さな子の下から抜き、ベッドから出た。

周囲と部屋の配置は自分の部屋とあまり変わらなかったが、一つだけ違いがあった。それは香りだった。この部屋には子供特有のミルクの香りだけでなく、サラの部屋にあるような香りもしていた。おそらくあの女性が持ち込んだものだろう。

もしかしたら、昨夜彼がいつになく良く眠れたのはこの香りのせいだろうか?

ベンジャミンは急いで服を着た。昨夜も今も、様々な反応は混乱した心のせいだと自分に言い聞かせた。

コートを...