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第558話

ベンジャミンは目を細め、足を止めて彼女の遠ざかる姿を追った。気づかないうちに、彼女の無関心さが彼の注意を引き、予想以上に彼を苛立たせていた。

何か未知の力に駆られるように、ベンジャミンは自分がサラを追いかけていることに気づいた。

涙がサラの目を曇らせ、彼女の視界は霞んでいた。前途は全く見えなかった。彼女の頭の中はアントニオのことでいっぱいだった—彼にセリーンのことを話すこと、彼への思いを伝えること、そして溜まった緊張を解き放つこと。

サラは自分を南山のふもとまで運転していった。

ベンジャミンは後を追い、目の前に広がる曲がりくねった山道を見て顔をしかめた。

サラに何かあったのだろうか?...