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第525話

アントニオが箱を開けるまで、サラは中に入っていた一対の指輪を見て衝撃のあまり息を呑んだ。「これ、捨てたと思ったんだけど。見つけたの?」

「ああ」アントニオはサラの指輪を取り出し、彼女の手を取って、繊細に薬指に指輪を滑らせた。「これは君が僕にくれた最高の贈り物だよ。もちろん、見つけないわけにはいかなかった」

サラの目が突然熱くなった。彼の手に付いたセリーンに踏まれた血痕に気づいたからだ。

「あなたの分も手伝うわ」

彼女はもう一つの指輪に手を伸ばし、率先して取った。

アントニオは彼女の動きを見て驚き、まるで心が綿で詰まったように感じた—膨らんでいるのに温かい。「サラ...」

サラは慎重...