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第474話

サラは言い終わると、アントニオの抱擁から優しく身を引き、病室に入り、そっとドアを閉めた。

彼女はもはやアントニオとの繋がりを望んでいなかった。ただ兄の傍らに立ち、彼が目覚めるのを辛抱強く待ち、そして子供たちをこの場所から永遠に連れ去ることだけを切望していた。

アントニオはしっかりと閉まったドアをじっと見つめていた。まるでサラの姿が遠ざかっていくのが見えるかのように。彼は完全に力が抜け、体の芯まで冷え切り、行動を起こす力も意志も失っていた。

どうしてこうなったのだろう?つい最近お互いの愛を告白したばかりだったのに。どうしてこんな状況になってしまったのか?

アントニオは病室のドアをノックす...