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第371話

「その通りだね」アントニオは笑って、軽くサラの鼻先に触れた。

「ちゃんと座って、動き回らないで」サラはアントニオを車椅子に座り直すよう支えた。

アントニオは素直に従ったが、彼女の手を離さなかった。

「サラ、どうか怒らないでくれ」アントニオは懇願した。

サラは今は厳しいことを言いたくなかった。「今はそのことは忘れて。ただ良くなることに集中して、心配しないで。子供たちを心配させたくないでしょう」

アントニオの心から重荷が取り除かれ、感謝の気持ちでサラの手を握りながら、病室へ向かった。

サラは唇を引き結び、こんな不良なアントニオを心の中で呪ったが、手を引っ込めることはなかった。

医師の...