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第326話

サラはアントニオの心のこもった懇願に心を打たれた。二人の体温が同時に上昇し、頬は赤らみ、言葉にできない曖昧さを匂わせていた。二人の目が合い、お互いの瞳にはただ相手の姿だけが映っていた。息は絡み合い、目には言葉にならない感情が宿っていた。

しかし、ハーパーの突然の割り込みが、二人の間の繊細な雰囲気を壊してしまった。「お兄ちゃん、アレックスおじさんが来たよ」とハーパーが告げると、アントニオの口元は失望で下がった。アレックスがまた来たのだ。つかの間の平穏の後、彼は再び予期せず彼らの玄関先に現れたのだった。

「行って見てくるわ」とサラは言い、慌ててアントニオを押しのけた。彼女の頬はまだ赤く、後ずさ...