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第269話

「こっちに来て、パパに味見させて。このケーキはハーパーが自分で作ったの?」

アントニオは前に進み出て、ハーパーの手からケーキを受け取った。

「うん、パパ、早く食べてみて」ハーパーは熱心に促し、もはやサラの表情を気にせず、視線はアントニオに固定されていた。

サラはようやくほっと安堵の息をつき、ドアのそばに立っているイーサンに気づいた。彼女は歩み寄って彼を近くに引き寄せた。「イーサンもケーキを作ったの?」

イーサンは首を振ったが、彼の目はアントニオの手にあるケーキから離れなかった。

「イーサン、嘘をついちゃだめよ」ハーパーはくすくす笑った。「パパ、このケーキはイーサンと私が作ったの。パパ...