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第212話

アントニオは近づいてきて、魅惑的な視線を向けた。サラはゆっくりと爪先立ち、アントニオの唇に浅くも温かいキスを残した。彼女が離れようとした瞬間、オフィスのドアが勢いよく開いた。

ジェームズが戸口に立ち、困惑した表情を浮かべていた。

アントニオの顔は一瞬にして曇った。

ジェームズの足は震えた。昇進の興奮で、ノックするのを一瞬忘れていたのだ。まさか...

なんということだ、社長と奥様はとても仲が良い。彼はただ机を片付ける人を探しに出ただけなのに、この二人はほとんど離れられないほどだった!

サラは急いで髪を整え、軽く咳をして、アントニオから距離を置いた。

ジェームズは視線を下げ、社長秘書の...