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第95話

マドックス

小雨が降る中、アイラと私はステージへ向かって歩き始めた。そのステージは絞首台の後ろに設置されている。父はかつて城の中から宣告を行っていた。ただ外のバルコニーに出て、処刑を命じる前に全員に向かって演説するだけだった。時には、そのまますぐにベッドに戻ることもあった。また別の時には、バルコニーの近くの椅子に座り、ウイスキーを啜りながら世界について思いを巡らせることもあった。

そんな瞬間の父が何を考えていたのか、私にはわからなかった。彼はたった今やったことに少しでも罪悪感を感じていたのだろうか、それとも世界で最も力のある男だと感じていたのだろうか?今、自分自身がその立場にいる今とな...