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ザロイヤルプリンセス

ソーレン

パットンは足を引きずりながら、四階のどこかにある、広々とした黄金の廊下を進んでいる。新品のタキシードに身を包んでいるが、ジェーンが用意したものに違いない。だが、あつらえたように似合っている。彼は腕時計を確認した。

いくつもの声が宙を漂い、太陽の光が染みひとつない真紅のカーペットに降り注ぐ。黄金の壁に並ぶ多くの鏡の一枚に自分の姿が映り、俺は足を止めて髪を整え、栗色のカールした前髪を額から払った。

俺が着ているこの黒一色のタキシードはエヴァンダーのアイデアだった。実際のところ、今頃はスウェットパンツにTシャツ姿でもよかったんだが。宮殿の壁の周りに集まった群衆の熱気を帯びたどよめきは...