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権限委任

メーヴ

真夜中、ようやく自分の私室に滑り込む。玄関ホールには私の私物が入った箱が危なっかしく積み上げられている。どれもラベルが貼られていて、二階上にあるフロアを丸ごと占める巨大なロイヤルスイートの各部屋へ運ばれることになっている。

何時間も王冠を戴き、額から垂れる宝石を身につけていたせいで、頭がずきずきと痛む。バルコニーから下りてすぐに服は脱いだというのに。それももう何時間も前のことだ。

今、私が着ているのは、儀式を執り行う夫婦を祝福したときの儀式用の白いガウンと、濃紺のクローク。湖で燃え盛る幾十もの篝火から立ち上った煙の匂いがする。

儀式の後、私は城へと護衛されて戻った。そこでは祖父...