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もうこの気持ちと戦えない

メイヴ

私ってほんと、馬鹿。鏡に映る自分の顔を見るだけで、頬が実際に熱を帯びて揺らめくのを感じるほど真っ赤になっちゃうんだから。ソーレンが隣の部屋で、この家、森の奥深くにあるこの診療所の持ち主である老婆、ヘレナと話している低い単調な声を聞きながら、私は服を着る。もう夜だというのに、今日の時間の流れはぼんやりとしか感じられない。未曾有の大嵐が吹き荒れ、森は水浸しになり、小川はことごとく氾濫し、最も小さな田舎の村々とローグランドの大都市とを結ぶ狭い道は洗い流されてしまった。

ソーレンはそれが私たちに有利だと言うけれど、彼がなぜ、どのように追われているのか、私にはまだよくわからない。彼の銀の腕輪...