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ジュースがなくなった

メイヴ

私はサマードレスにカーディガンなんてものを着る柄じゃない。どう見ても、おしとやかな女の子タイプだなんて思ったこともない。好きなのは動きやすい服――アスレチックショーツ、スニーカー、肌寒いならスウェット……あるいは、故郷のヴェイルド・ヴァレーで育った頃に着ていたような、ゆったりとした、この世のものとは思えないほど美しいサテンやシルクのガウンやクロークだ。

小さなバスルームの錆びついた鏡を覗き込み、ちぢれた黒髪を手ぐしでとかす。今のところ、これが精一杯だ。櫛もない。ぼさぼさの髪を顔にかからないようにまとめるピンもシュシュもない。ただ……ありのままの、むき出しの私、というわけだ。

鏡の...