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ワン・リトル・ヒッチ

ローガン

ライアットとエヴァンダーが兵舎と街のメインストリートを結ぶ橋を渡り、視界から消えていく。俺は古い自室の窓から、谷間に影を落とす陽光の眩しさを見つめる。影は、雲が空を横切り城へと向かうにつれて動いていく。城へ、俺の妻のもとへ。今ここにいるより、よほど一緒にいたい相手だ。

俺は……荷造りするものが何もない。俺にとって意味のあったもの――ラップトップも、あのクソったれな眼鏡まで――は、船の難破で失われた。今着ている服だけだ。それすら、どこの誰から借りたのか分からない、ブリーの家の寝室のドレッサーの上に、彼女の家に取り憑いている幽霊が置いていったものだ。

彼女だけが俺のすべてだが、彼女...