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第595話

「並んで」私は十歳のレクサの耳元でささやく。「息を吸って…放して」矢が冷たい春の空気を二つに切り裂く。近くのポプラの木から落ちるリスが、柔らかな鳴き声と共にこちらへ向かって聞こえてくる。彼女が暗い青色の目を丸く大きく見開いて喜ぶ姿を見ながら、私は無言の祝福として彼女の腰を優しく握る。「よくやったわ」私は微笑んで、彼女の背中を軽く叩く。「行って取ってきなさい」

レクサは赤い巻き毛を揺らしながら飛び出していく。彼女の着ている手織りの柔らかなクリーム色と茶色の服は、溶けかけた雪の色と調和している。遠くの影のある山々の向こうでは、灰色の煙が夕日の最初の兆しに向かって伸びている。

レクサはリスを手に...