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第577話

私はアディをケナの腕から奪うと、全力で走り出す。アヴィヴァが私の後ろをぴったりと追いかけてくる。背後でケナが子供たちを呼ぶ声が、私がパックハウスの扉を突き破って村を駆け抜けるにつれて遠ざかっていく。

前方に治療師の小屋が見えてくるが、ようやく半開きの玄関にたどり着いた時には肺が焼けるように熱くなっていた。私は中に飛び込む。

ハーブとスパイスの香りが空気に漂っている…しかしそれだけだ。小屋は完全に空っぽだった。

「誰かいませんか?」私は恐怖で感覚が麻痺しながらもアディを必死に抱きしめ叫ぶ。「コール?!」

アヴィヴァが私の後ろで立ち止まり、息を切らしている。「みんなはどこ?」

「わからな...