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第395話

ケナ

「もう何も言わないでくれ」イヴァンダーが唸った。

柳の木の聖域が暗くなり、葉を通して漏れる月明かりの中でかろうじて彼の瞳が輝いているのが見える程度だ。彼は私に向かって一歩踏み出し、再び私たちの間の距離を縮めようとする。

「話し合わなきゃ。あなたはこれを望んでいないわ」

「俺が何を望んでいるか、お前には分からない」

「じゃあ教えて」私は息を呑みながら割り込んだ。「もう私には…もう何事もないふりはできないの。あなたは何が欲しいの?もし私じゃないなら、お互いを拒絶する必要があるわ!」

「お前が欲しい。何よりもお前が欲しいんだ、ケナ。お前のことばかり考えている。一日中、毎秒お前のことを考えてい...