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第379話

エラ

イーストニアの人々は携帯電話を持っていない。

試さなかったわけではない…。実際、イーストニアの女王として最初の10年間、私は国民に対してクレセント・フォールズの技術の少なくとも一部は良いものだと説得しようと努力した。

しかし、イーストニアは懐疑的で迷信深い人々の住む場所だ。彼らはプライバシーと、どうやら遮られない景色を好む。私の王国と兄の王国を隔てる山々に携帯電話の基地局を建てて、その景観を損なうことなど許さなかった。

だが、今のような時こそ携帯電話があれば素晴らしいのに。

私は私のメイト、夫、そして生涯の愛であるライアットに向き直り、両手を拳に握りしめる。

「ライアット」私はできるだ...