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第37話

マドックス

狼の姿の私は、全速力で城に向かって地面を駆け抜けていく。車を修理してくれる人を見つけるのに時間がかかると判断した時、護衛たちとドライバーの反対を押し切って、狼の姿で家に向かうことにしたのだ。

だが、何か悪いことが起きているという直感が胸の奥にある。簡単には説明できないものだが。

城まで走り続けた。何時間もかかり、到着した頃には日が沈みかけていた。心の繋がりを使って、ベータのセスに中庭で会うよう呼びかけた。服を持ってきてもらい、人間の姿に戻って着替えるためだ。彼が近づいてくるのを見て、心の繋がりで尋ねる。「城の中は大丈夫か?」

セスの額にしわが寄る。「ああ、何も問題ないよ」と...