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第360話

私が何を見つけることを期待していたのかはわからないけれど、これではない。

ただ霧と魔法の壁を通り抜けて、向こう側に出てリヤットとエラに対面するというわけではなく、まるで体中の神経が引き裂かれて再び押し戻されたあと、頭から落とされたような感覚だ。

リヤットとエラがベールを越える時に何を経験したのか、今回で二度目だが、私はあまり考えたことがなかった。それは部屋から部屋へ、あるいは城から森を越えた向こうの起伏ある野原へと自分を移動させることとはまったく違う。

私の力は役に立たない。私が背中で縛られた手で体重を椅子の上で動かすとき、オオカミの力さえも血管の中で弱々しく鳴いている。

ベールを通過してから...