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第349話

私は剣を背中の鞘に戻し、ヴェイルド・ヴァレーの図書館の水晶のような主翼を見回す。ここまで来るのに使った膨大な力で体が震えている。エラのもとに戻るのは確実に苦痛を伴うだろうが、もし私の推測が正しければ、アーサーは私たちを助ける方法を知っているはずだ。

問題の小柄な男は、ひび割れた丸い眼鏡の奥から私を見上げている。その眼鏡は非常に分厚く、彼の小さな目が茶碗のように見える。

「こんばんは」と私は息を吐く。それだけでも努力が必要だ。水晶のアトリウムの入り口に体を支えると、視界がわずかにぼやける。遠くにヴェイルド・ヴァレーの灯りが輝いている。

「朝の三時ですよ」

「俺が来た場所ではそうじゃない」...