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第338話

エラ

城のこの部分に来たのは初めてだと思う。正直なところ、この漆黒の宮殿に初めて降り立った日から、リャットの壮大な山腹の住まいの半分も見ていない気がする。

でも、この部屋は…この部屋は私の注意を完全に引きつける。壁は城中に張り巡らされている同じ黒い石でできている。そびえ立つステンドグラスの窓から、紫、青、象牙色の光の帯が、色あせた革の家具や、おそらく過去の統治者たちだろう古い肖像画に散りばめられている。精巧な絨毯が不規則な角度で敷かれ、その色は互いに溶け合い、年月を経て擦り切れている。

この絨毯の上を何人の人が歩き、部屋の中央にある円卓の上を指先でなぞったのだろう。テーブルをほぼ覆い尽くす...