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第317話

イズラ

その前

こんな興奮を感じたことはなかった。振り返ってみると、今の状態に至るまでの道のりは本当に不思議なものだ。孫たちに会うのを楽しみに、スーツケースに小さな服を詰めている。指先が小さなテディベアが刺繍された水色のロンパースに触れると、私は目尻に皺を寄せながら微笑む。

マドックスは私の後ろのどこかで、まったく別の理由で自分のスーツケースを詰めている。クローゼットからスーツを取り出して確認している彼に、肩越しに振り返って言う。「スーツを着るには暑すぎるんじゃない?」

「アントニーによれば、正装の集まりだそうだ。マートゥアの諸島とキロキロの小さな領土のアルファたちが参加する。俺は...