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第290話

「私のお父さんには力なんてない」と私は言い張る。ラヴェンナの水晶宮殿を通って彼女の後を追いながら。リヤットが私の後ろを近くでついてくる。私たちが狭い階段を上っていく。「本当にないの。もし力があったら私が知っているはず。お母さんも知っているはず」

ラヴェンナは階段の上にある幅広い重い扉を開け、暗い部屋に入っていく。私も彼女の後に続き、頭上にはドーム状の水晶の天井があり、まだ外で荒れ狂う嵐が見える。稲妻が閃き、部屋を青い光で照らす。私は歩みを止め、天文台が視界に入る。真鍮の装置が霞んだ光の中で輝いている。

リヤットが私の後ろに来ると、不安の波が私の肌を撫でる。柔らかな光が点灯し、私たちがどこへ...