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第29話

イーラ

マドックスから手書きのメモを受け取った。7時に夕食に連れて行くと書いてある。

今は6時55分。私は時計を見つめながら、針が逆に動くことはあり得るのかと思っている。

彼が到着するまでが永遠に感じられる!

私はベッドの端を行ったり来たりしながら、身につけている長い赤いドレスがサッサッと揺れている。正確にはガウンというほどではないけれど、私のワードローブの中では特別なドレスだ。

今夜は特に、彼のために素敵に見えたいのだ。

今夜こそ彼が私を番にする夜になるのだろうか?

考えるだけで心臓が早鐘を打つ。そうなることを願うばかり。

「そんなに歩き回ってたら、カーペットが擦り切れちゃうわよ」とポピー...