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第26話

マドックス

私は廊下を必死に駆け抜け、自分の愚かさが再び大きな代償を払うことになるのではないかと、恐怖に目を見開きながら月の女神に祈る。

どうしてこんなに愚かだったのだろう?ザブリナが殺したいと思う相手は他にいないと考えて、自室に戻るなんて!

またしても、自分の愚かさが大きな代償を払うことになったような気がする。

ただあの少女が無事であることを祈るだけだ。だが、月の女神と私は、レベッカの...突然の死以来、この数年間、口を利く間柄ではなかった。

曲がり角を回ろうとすると、廊下の滑らかな床で靴が滑る。足を取られた原因が単に光沢のある大理石の表面だけではないことに気づく。床も濡れている...