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第252話

マディ

彼をマークするつもりはなかった。それは理性的な思考をすべて圧倒し、一時的に私の判断力を曇らせる何かが内側にあったのだ。まるで何かの力が完全に私を支配し、狂気へと駆り立てるかのように。

彼がタイルの壁に私を押し付けている間、私は息を切らしていた。熱いシャワーが私たちの上を流れ、暗い石の床から湯気が立ち上っている。私は下を向き、キラキラとした輝きが排水口に渦を巻いて流れていくのを見ながら、荒い息遣いと激しく鼓動する心臓を抑えようとしていた。

「ごめんなさい」私はシャワーの音にかき消されるほど小さな声でささやいた。でも彼の唇は私の首筋から肩へと移動し、熱いキスの跡を残していく。私は...